学びのミカタ

学びのコラム⑫(子どものウソ③)

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こどもの「ウソ」について③ ついていい「ウソ」もある

前回、前々回にかけて、子どもがウソをつくことの発達心理学的な説明と対応についてお話ししました。他者をだましたり、ごまかしたりすることはけしてよいことではありませんが、世の中には「いいウソ」というものもありますね。自分を守るためのウソではなく、他者のためにつくウソです。
たとえば夫の実家を訪問し、食事を出してもらったとき。お姑さんが作ったおかずを一口食べて、子どもが

「うわー、まずい。これ、やだ。」

なんて言ってしまったら、場の空気は一瞬で凍ってしまいます。そんな時に「おばあちゃん、おいしいよ。ありがとう。」とウソをつくことはけして悪いことではありません。
これは「本当のことを言ったら、おばあちゃんは残念がるだろうな」というように、相手の気持ちを理解し、思いやる心があってこそつくウソです。Coleという研究者の実験的研究によると、3歳の子どもでさえ、期待外れの贈り物をもらったときに贈り主に対してあえて微笑んでみせることがわかっています。(このように相手や状況に応じて社会的に適切な感情表出をすることを社会的表示規則(social display rule)といいます。)

私たち大人もウソをつきます。「ウソは全部だめ!」と言ってしまうと、いいウソさえもつけなくなってしまいます。子どものウソを見つけたら、その裏にはどんなメッセージが隠されているのか、考えてみると面白いですよ。
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