学びのミカタ

学びのコラム⑲(子どもの個性について①)

バックナンバーはこちら

子どもの個性について(執筆:孫先生  監修:矢藤教授)

 のんびりやさん,おこりんぼうさん,泣き虫さんなど,子どもには小さい時からいろいろな個性があります。きょうだい間でも、個性の違いに驚く親は多いようです。心理学で「個性」はとても大きな概念で、生まれつき持っている「気質」(刺激に対する敏感さや好み、活動性のレベル、注意の持続性、気分状態など)の側面もあれば、学習や経験の中で培われた「パーソナリティ」(協調性や自立性,応答性など)もあります。「あなたのお子さんの個性は?」と聞かれても,いろいろな側面があるので一言で答えるのは難しいですね。
今回は、子どもの個性について、生育環境の中で形成される「パーソナリティ(性格)」と、生まれつき持っている「気質」の観点からご説明したいと思います。

パーソナリティの測定

専門家や研究者の関心によって、様々なパーソナリティの尺度が開発されています。例えば、一番よく知られているビッグファイブという性格尺度では、人の個性は次に挙げる5つの因子に分類されます。
・Openness(開放性):知的好奇心など
・Conscientiousness(誠実性):思考や行動をコントロールする力、良心、責任感の強さなど
・Extraversion(外向性):社会性や活発さ、外界への興味関心
・Agreeableness(調和性):他者への共感や思いやり、協調性
・Neuroticism(神経症的傾向):ネガティブな刺激への耐性、感情や情緒面の不安定さ
それぞれの因子の強弱が、その人の性格や振る舞いの個性になるという考えです。
クロニンジャーという研究者の Temperament and Character Inventory(TCI)という尺度では、7つの特性気質と性格に分けて個性を見ています。質問項目の例を挙げると、「慣れない状況では、緊張し、心配してしまう。(損害回避)」,「何か新しい方法を考えだすのが好きだ。(新奇性追求)」、「人を喜ばせることが好きだ。(社会的報酬依存)」「他人がとっくに諦めた後でも辛抱強く続ける。(持続性)」というようなものです。巷には性格診断テストや血液型による性格分類などが氾濫していますが、心理学では信頼性・妥当性の高い尺度を使って個性を測定しているのです。
次回は,TCIで取り扱われている「気質」についてご説明します。

診断はこちら