学びのミカタ

学びのコラム⑳(子どもの個性について②)

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子どもの個性について(執筆:孫先生  監修:矢藤教授)

気質の測定

 前回ご紹介したTCIの開発者、クロニンジャー博士のパーソナリティ理論によると、気質は生まれつき(遺伝)の影響が多いとされ、乳幼児期からみられる性質です。神経伝達物質の分泌の個人差と関連しているとの科学的根拠も報告されています。つまり、個性の中核をなす部分、というイメージです。それが、日々の生活の中で経験したこと(養育者の関わり方など)や受けた教育、社会文化の影響を受けて「性格」が形成されていくと考えられます。最近の研究では、気質は遺伝の影響が大きく「変えられないもの」、性格は環境の影響が大きく「変えられるもの」と区別したうえで、両者の相互作用も検討されています。
乳幼児向け気質質問紙The Infant Behavior Questionnaire(IBQ)の開発者であるロスバート博士は、乳幼児に対する行動観察および母親への面接により、14の気質特性を抽出しました。活動性のレベル(赤ちゃんが手足をバタバタさせる)、制限された時の負の情動の表出(思い通りにいかない時にぐずったり泣いたりする)、恐れ(初めての場所や知らない人と会うときに、不安を感じやすい)、注意の持続(一つの活動を長く続ける)、刺激への好み/敏感さ/反応性/なだめやすさ/回復などがあります。
近年、乳幼児の気質についての研究がますます盛んになっています。特性の分類も多様で、私たちが一般的に考える「気質」のイメージと少し違うかもしれません。では、なぜ子どもの気質を研究することがそれほど重要なのでしょうか。次回にお話しします。

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