学びのミカタ

学びのコラム㉑(子どもの個性について③)

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子どもの個性について(執筆:孫先生  監修:矢藤教授)

なぜ気質の理解が大事なのか

 前回に続いて、子どもの個性、特に気質についてお話します。
親や教育者が子どもの気質を理解することはとても重要です。なぜならば、気質は遺伝的な影響が大きいため変えることが難しく、理解した上で上手に付き合うことが大事と考えられるからです。そもそも気質には良いも悪いもないのです。例えば「敏感な子」は育てにくいところがあるかもしれませんが、その敏感さの原因を考えると、刺激への「感受性が高い」という見方ができます。実際、多くの研究によって「差次感受性理論(Differential Susceptibility Model)」という考えが支持されています。ベルスキーという研究者によって提唱されたそのモデルでは、感受性の高い人は不適切な環境からネガティブな影響を受けやすいだけでなく、好ましい環境からポジティブな影響も受けやすいことを示しています。ということは、「敏感な子」には適切な環境を提供することで、そうでない子よりもっと環境からの刺激を吸収して伸びる可能性があるのです。

 これは敏感性という気質だけでなく、他の気質にもいえることです。つまり個性は、様々な特性においてみんなそれぞれ違うので、ひとりひとりにオーダーメイドのかかわりが必要です。同じ教育やアプローチが全ての子どもに適しているわけではありません。ひとりひとりの個性をよく把握してから初めて、その子に有効な指導とサポートがデザインできるのです。親や教育者が子どもたちをよく観察し、理解したうえで、個々人が本来持っている気質に合わせた育成を心掛けることが、健やかな成長と発達に繋がります。

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