お手伝いをとおして自己肯定感を育てる(執筆:藤戸麻美 監修:矢藤優子)
文部科学省が実施した21世紀出生児縦断調査によれば、小学生の時にお手伝いを多くしていた子どもは、高校生になってからの自己肯定感が高いことが明らかになっています。それだけでなく、勉強が楽しいと思えたり新しいことに興味を持てるなど、お手伝いをすることによるポジティブな効果が証明されています。
お手伝いの大きなメリットの一つは、誰かの役に立つ機会を得られることです。親御さんから頼ってもらえて役に立てたというような経験を積んでいく中で、自分は家族の一員として貢献できる存在なのだという思いが芽生えます。そして役に立っているのだ、頼りにされているのだと思えることで、子どもは自己肯定感や責任感を育んでいくのです。
また、お手伝いの経験によって成功体験が増えたり家族に褒められたりすることで、子どもの自信につながり、自己肯定感を育むことができます。大人はつい「よくできたね」「上手だね」と褒めてしまいがちですが、ぜひ「テーブルを拭いてくれてありがとうね」「靴をそろえてくれて助かったよ」などと感謝の気持ちを伝えてみてください。そうすることで、子どもは「自分は役に立っているのだ!」と身をもって感じることができます(心理学では自己有用感といいます)。また、「タオルをたたむのが好きだね」とか「ごみの分別が得意だね」などとお子さんの姿に言及することで、お子さんは大好きなお父さんやお母さんにちゃんと見てもらえているのだ、自分が認められているのだと感じることができ、自己肯定感を育てる手助けにもなります。