子育てにおけるストレスとの付き合いかた(執筆:木村駿斗 監修:矢藤優子)
お子さんの年齢にかかわらず、子育てには喜びと同時にストレスもついてくるものです。
今回は、育児ストレスとその原因、対処方法についてお話します。
育児ストレスとは
まず、ストレスとは何でしょうか。簡単に言うと、「外部からの刺激によって身体や心に生じる反応」のことです。もともとは物理学の言葉で、外部からの刺激に対する力(応力)のことですが、その後、生理学・医学の分野を経て、心理学の分野でも使用されるようになりました。心理学では、職場、学校など人間関係の中で生じるストレスに焦点を当てて研究されています。今回は、子育て中に経験する育児ストレスについてご紹介します。
育児ストレスとは、子育ての中で養育者が経験する負担感や不安のことを言います。少子化社会の日本において、育児ストレスをどのように克服・解消するかは重要な問題です。というのも、国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、夫婦が2人目以降の出産を希望しない理由として、「経済的理由」、「年齢・身体的理由」に次いで「育児の心理的・肉体的負担」が挙げられているからです。この負担感には育児ストレスが含まれていると考えられますので、子育てには経済的支援のみならず、心理的・肉体的な支援も同時に必要といえます。支援といっても、国や自治体の子育て支援政策のような大規模なものだけではありません。日常生活の質の向上と、家族や友人との密接な関係が重要です。自分の子育てを認めてくれる人の存在や、サポートしてくれる人の存在が、子育てをする人のストレスを和らげたり、生活の質(QOL)を高めることが筆者らの研究により明らかになっています。
次回は、育児ストレスが高まる原因についてお話します。